中南米




神々に近い場所(高い所) @ボリビア

「山の天気なんて、分からないですよ。とても早く変わるから。」

山専門の旅行代理店に聞いても、山の天気は運次第。考えて日程など決めても仕方ない。「じゃ、明日行きます。」この時期はシーズンオフで料金が安かったので、ボリビアの山を二つに登ってきました。ラパスからの送り迎え、食事、ガイド、装備付きでお手ごろな値段。グループで申し込むとさらに安くなるが一人で参加。ボリビアにはこんなツアーがあるのか!はっきり言って、本格的な冬山登山は未経験。こんなチャンスはめったに無い。

ワイナポトシ(6088m)とペケーニョ・アルパマーヨ(5350m)

先にワイナポトシに登る。登頂予定直前から天候悪化。雪が降り出し、5650m付近まで登れたが、そっから先は危険という事で頂上には到達できなかった。残念!残念!このままラパスを去ってはもったいないし、悔しいと思い、再度別の山、ペケーニョ・アルパマーヨに登る事に。この山はシーズンオフの不安定な天気でも比較的登れる山らしい。標高は低いけど(でも、日本ではありえない高さなのだが。。)、いい山だよ!という事で行ってきました。

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うわぁ~!ベースキャンプ地のChair Khota Lagoonから山々を望む。たくさんの山々に囲まれた非常に美しい場所。寺院内に居る様なとても荘厳な雰囲気。彼はガイドのアンドレス。

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運悪く、またしても、出発2時間前から天候が崩れる。もしかしたら登頂中止になるのか。。パラパラと雪の当たるテント内でかなり落ちこんだ。しかし、運が戻ってきたのか、朝の5時、雪が止んだので出発。

1時間ほど谷を歩きアイゼンを着けて雪の斜面に、雑に歩いてバランスを崩すと一気に体力を消耗するので一歩一歩丁寧に歩く。体力で登るというよりは、半分集中力で登っている様なもんだ。前回のワイナポトシよりも呼吸は楽だ。あまり息が切れない。高度がかなり低いせいもあるが、標高4000mのラパスに来て一週間以上、高度順応がうまくいっているのと、前回のワイナポトシで雪の歩き方に少し慣れていたというのもあるかも。

ピッケルを勢い良く雪に刺すと、あっさり根元まで雪の中にもぐり込む。あ、そうなんか、自分は今、安定した地面の上に立っていない。完全に柔らかな雪の上に居る。ピッケルを刺した円筒形の穴が、とても美しい水色をしている。普通なら奥の方は暗くなるのに、何処から光が来るのか、奥の方は水色に光っている様に見える。奥の方は氷なのだろうか。

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白と黒の世界。岩肌の雪が非常に繊細。雲が流れて来て、時折全部が真っ白に。後ろを振り向くと自分たちの足跡が白の中に溶け込んでいる。

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振り返るアンドレスと顔を見合わせて、お互いを確認する。なんだか、かなり一体感のある登山。登るペースもきつくない。彼と自分は合っている。体力的にも精神的にも。彼とこの山を登れてとても幸運だった。彼は24歳。小柄な青年。でも雪の斜面を先導して登る彼はとても大きく見えた。不思議だ。ああそうか、彼は今、シャーマンと同じ。自分を導いてくれているんやな。今回の旅で2度目の経験。彼と自分は今、一本のザイルで繋がっている。そういえば雪の無いアマゾンでは、ザイルは唄だったな。ありがとう。

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時折、ズズンと空気を振るわせる音がする。雪崩の音。ギョッとして彼の顔を見る。「別の山だ。」今登っておる山は、それ程急勾配では無いし、曇っていて気温も低いので、雪崩れる確率は低いと見た。でも不気味だ。幅20~30m位ありそうな巨大なクレバスは、両手を広げ静かに行く手を遮っている。断面は雪の地層だ。縞模様になっている。自分の小ささを実感する。ビクビクしながら迂回する。山の神を起こさぬよう、ゆっくりゆっくり雪の中を歩く。

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結局、雪が深く、ペケーニョ・アルパマーヨ山頂には立てず。一つ手前のピーク、Pico Tariha(5200m)で終了。でも、もうここで十分満足です。本当、これ以上は恐れ多い。アンドレス、どうもありがとう。頭がクラクラする。今、ここに立っているのが信じられない。頂上は二人がすれ違うのがやっとの広さ。自分達に与えられたのは畳一畳分の広さも無さそうな場所。雲間から切り立った白い山々が見える。神々を足下に見る。とても厳しく神聖な場所。この場所に立たせていただいて非常に光栄な気分になる。ありがとうございます。この荘厳な場所で邪念を持つと一気に奈落の底。2、3歩踏み出せば切り立った崖、1000mはありそう。下の景色がかすんで見える。厳しい。とても厳しい。が、今まで見たことの無いくらい非常に美しい場所。こういう美しさもあるのだなと思った。厳しさの先の美しさ。死と隣り合った美しき場所。

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リンゴ一個食べて、お互い写真を撮り合ってすぐに下山する。天候が急激に変わるので長居はできない。というか、ここに長居したくない。。。

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雪の斜面を下る。全部真っ白なので、どの位の傾斜があるのか、全然分からない。斜面を下っている感じがしないが、自分の蹴散らした雪の破片が勢い良くコロコロと転がり落ちてゆく。美しい。全てが美しいです。

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やっとベースキャンプ近く。戻ってきたという感じ。といってもここも4600m以上はあるのだが。。実際この山、ワイナポトシに登れていたら行ってなかったやろうな。。。ワイナポトシに登れなかった事にも感謝。

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次の日、ベースキャンプ地から下の村まで戻る。一気に天候回復。素晴らしい天気。山の天気は良く分からん。下の村からベースキャンプまでの往復は現地の方のロバで荷物を運んでもらう。ガイド、食事、タクシー送迎。たった自分一人のためにこんなにしてもらって逆に申し訳無い位だった。無事、ラパスに戻ってきました。雪焼けした顔がとても痛いがまだまだ元気。




この記事を書いた人 : タミオー / Tamioo
旅が人生。なるべくお金を節約し世界の隙間をふらふら生きる。読み手を選ぶ狂気の旅日記本「タミオー日記」の作者。旅マンガも描きます。
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